※前回の続きです
高校1年生の秋
母が一時退院している間に
一人暮らしが始まった
当面の家賃や生活費は母が払ってくれた
あとはバイトで何とかするしかなかった
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今ではあり得ないけど
スナックみたいなキャバクラに週3、4回入った
働き始めたのは冬
当時は未成年も夜の世界に結構いた
私が働いてたところなんて
半分が未成年
しかもみんなお酒を飲んでた
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昼は学校
夕方は友達とカラオケ行ったり
プリクラ撮ったり
マックで語ったり
そこら辺にいる女子高生
18時、19時くらいになって
みんな解散していく
塾があるから、と走っていく子
そろそろ帰ってきなって連絡が来たと言う子
誰かが家で待ってるんだと思う
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私はコンビニに寄った
100円のおにぎりを一つ買う
それが今日の夕ご飯
誰もいないアパートに帰る
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鍵を開ける
真っ暗な部屋
昨日着てたドレスと
床に高校のジャージが一緒に落ちてる
机の上には高校の課題とキャバクラの名刺が並んでる
制服の時に使うやっすい香水と、お客さんにもらったシャネルやDiorの香水が
混ざった匂いがする
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コートのポケットから
100円のおにぎりを取り出して
そのまま食べた
制服とローファーを脱いで
露出が多めの服に着替えた
スクールメイクの上に
濃いめのメイクを上塗りして
お迎えの車を待った
(地方は行きも送迎ありでした)
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自宅の外で、部活帰りの高校生や中学生を横目に待っていると車が来た
キャバ嬢たちのリクエストで、当時流行っていた、あゆがいつも流れてた
先に乗っている子たちも同年代
金髪で
タバコをふかしながら
営業メールを打ってる
車内の子たちは高校をやめた子ばかりだった
車に乗って窓の外を見たら
さっきすれ違ったノーメイクではしゃいでる子たちがまだいた
また明日になれば
そっち側に戻る
だってさっきまで
そっち側にいたんだもん
でももはや
戻るのがどっちなのか分からなかった
同じ16歳
あまりにも違う世界
その違和感に名前をつけることはできなかった
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時給は確か2300円前後
指名や売り上げのバックがつけば
週3回のバイトで
高校生でも一人暮らしは何とかできた
原価の何倍ものお金を払って
ボトルやシャンパンを入れてくれるお客さんを接客する高校生
カオスな状況だけど
みんな笑っていて
にぎやかで華やかだった
少し前まで
いつ殴られるかとおびえていた19時から27時
ここは嘘ばっかりの
穏やかな時間
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一緒に働いてた子たちと
深い話をすることはほとんどなかった
みんな普段は見せてなかった
傷なんて見せずに
ちゃらんぽらんを演じてた
うちに泊まりに来た時
二人でいて語りムーブになった時だけ
話してくれることがあった
親が不倫相手と心中した子
親が薬物中毒の子
もうこの時は、普通じゃないのがうちだけだとは思ってなかったから、
驚いたりはしなかった
そうなんだね
って聞いてた
だって私はその子に何もできないし、
その子だって私に何もできない
でも誰かに言うことで
ムリヤリ過去にしてしまえば前に進めることもある
でも誰でもいいわけじゃなくて
否定も肯定も同情もいらない
ただ聞いてほしいだけ
そうなるとサバイバー同士がちょどよくて
なんとなくそのあたり
お互いに鼻が効いた
当時の私は
虐待サバイバーをかぎ分ける嗅覚がとんでもなく高かった
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未成年がキャバクラにいた理由はお金だけじゃなかったと思う
少なくとも私は、やっと殴られない場所を見つけられたと思ってた


居場所があるって大事なんですね。